決算書

【銀行は売上原価をこう見ている】利益算出のカラクリ

銀行は売上原価、特に製造業の「製造原価報告書」については詳しく見ています。
後述する「売上総利益」算出の式のカラクリを理解していないと経営判断を誤ります。

製造原価報告書は「材料費」「労務費」「外注加工費」「製造経費」を合算することで当期総製造費用を算出し、さらに期首仕掛品棚卸高を加えて、期末仕掛品棚卸高を差し引いて算出するのが一般的です。

「材料費」は期首材料棚卸高に今期の材料仕入高を加えて、期末材料棚卸高を差し引いて今期に使った材料を算出しています。

「労務費」は製造に携わる社員の人件費で、賃金だけでなく法定福利費や福利厚生費で、今期支払った金額を掲載します。

「製造経費」は製造に関わる間接経費で、設備機械の減価償却費やリース料、水道光熱費、製造部門の車輛費などで今期使った費用が掲載されています。

まず、それぞれの大項目の増減を見ます。
前期・例年と比べて金額が大きく変化していないか?していたら、その理由はなにか?

経営者の方はその理由を銀行に説明できるようにしておいてください。

次に、売上原価(製造原価)に占める比率と売上に対する比率の変化が、金額同様に大きく変化していないか?していたらその理由はなにか?

金額変化原因の多くは、比率を算出することによって解明されますが、比率の大きな変化には特に気を付けています。
銀行が経営者にその理由を尋ねることは間違いありません。

経営者の方は、しっかり説明できるようにする必要があります。

製造原価は今期実際にかかった費用だけでなく、材料費と仕掛品が大きく増減していると、製造原価が大きく動きます。期首棚卸高を加えて期末棚卸高を差し引くからです。
棚卸高が期末に大きく増えていると、製造原価が低くく出る算式になっているからです。

余計に造り過ぎてしまいデッドストックになってしまっていても、材料を間違って発注し当面使うことがなくても、期末の残高が増えていれば、期首の残高を加えて期末の残高を差し引く製造原価の算式に従って計算すると、表面上は売上総利益が高く出るのです。

経営者の方はここを理解していないと、デッドストックが発生し来期以降にマイナスの影響が出るにも関わらず、表面上は売上総利益が高くなることに十分注意しなくてはいけません。これこそが、資金繰りが詰まる予兆です。

製造業以外も今期の仕入金額に、期首の仕入残高を加えて、期末の仕入残高を差し引くという売上原価の算式は同じですから、売り残りが多く出ると将来へのマイナス効果になるにも関わらず、今期の売上総利益が高くでる現象を理解していないと、経営判断を誤ります。