決算書

【銀行は販売費及び一般管理費をこう見ている】

「販売費及び一般管理費」は略して「販管費」と呼んでいます。

まず、前年と比べて大きく増減している項目はないか?例年と比べてどうか?を見ます。
特に人件費(役員報酬・給与手当・退職金・福利厚生費)の増減はよく見ます。

その中で特に銀行が注目しているのが、「役員報酬」と「交際費」です。
会社のお金が社長に還元されている、少なくとも社長自身に決定権があるとみるからです。

減益となった場合は、売上の伸長や利幅の確保が重要ですが、自分自身に決定権がある資金の削減ができる経営者を銀行は高く評価します。社長の覚悟が見えるからです。
赤字に転落したら次年度はいったん削減し、復活したら元に戻すという気持ちが必要です。

役員報酬は定時定額払いでないと損金計上できませんから、年度単位の増減となります。
税務上は損金計上できませんが、財務上は費用計上できますので、年度途中で削減しても構いません。

売上を上げるには売り先との交渉、利幅を確保するためには仕入先との交渉が必要になってくることが多いので一朝一夕にはいかないはずです。

一方、内部の事情だけ見直すことができるコストは交渉が必要ないので早く対応できるはずです。出来ることから、即効性のあることから、行うべきだと銀行は考えます。

多くの銀行員は社長個人の事情よりも見た目の決算の改善を優先します。
銀行は早く業績回復してもらって、さらに融資を伸ばしたいからです。
業績不振が重なり融資金が回収できなくなることを本能的に恐れています。

既に売り先や仕入先と交渉を終えている場合や、売上や利幅が下がった理由が特殊な要因で復活は確実だと分析できていれば、その旨を銀行に説明すれば良いのです。
そうすれば、無理に削減する必要はありません。

原因を分析して、社長自身が一番納得できる方法を選択するのです。
そのためには、税務ではなくて財務に詳しい人のアドバイスが有効でしょう。

別の人件費に目を移します。

「退職金」が毎期計上されている会社は従業員の定着が悪いのではないか?と考え、
「給与手当」を従業員数で割ってひとりあたりの年収を算出し、一般的に考えて多いか少ないかを考えます。

この「給与手当」にパート従業員含みか否かを聞かれたら、従業員の待遇を気にしていると考えた方が良いでしょう。パ-ト従業員給与は「雑給」の項目に入れている場合が多いはずです。

もうひとつ私が気にしているのは、「福利厚生費」です。多くの決算書では社会保険料などの法律で定められた「法定福利費」と、企業が従業員のために行う「福利厚生費」を分けて計上しています。

「福利厚生費」には従業員に対する生命保険料や損害保険料が含まれている場合がありますが、好決算の節税対策のために保険加入によって利益を圧縮すると、この項目が増えます。

多くの場合、保険は中途解約が圧倒的に不利なので、減益となっても保険を解約できずに継続しています。節税対策は多少の減益でも継続できるか否かの観点で決めてください。
増額した保険料に苦しんでいる企業を、銀行員時代に見てきました。

利益が出たら、節税よりも借入金削減を真っ先に考えるべきです。
会社は「ゴーイングコンサーン」。継続することが、社員にとっても、社長にとっても、取引先にとっても、重要なことです。

それには、必要な時に必要な資金が調達できる状態にしておくこと、余裕資金をいつでも調達できるようにしておくことが大事です。そのために借入金を返済して実績を作るのです。
融資をしたい銀行は嫌がるかも知れませんが、返済を優先させてください。